映画の投資の集め方(前の続き)

前回の続き、具体的なハリウッド資金調達の例と体験談です。このページに先に訪問された方は、前回の記事をひとまずお読み下されば幸いです。

ハリウッドでの具体的な資金調達の方法?

STEP 1: 脚本の権利をゲット

こ れから映画を投資ファンドを利用して作ってみられたい方は、まずは脚本を書きましょう。もしくは脚本を買いましょう。そして権利問題をきちっとして下さ い。脚本が完成した時点で、アメリカのCopyrightオフィスに脚本と$30の手数料を払って、脚本の書作者の登録をします。特殊な場合を除いて、か なりの時間が掛かる場合もありますので、WGA(脚本家協会)のサービスを使って、暫定的に脚本を登録する事も可能です。

日本では、日本脚本家連盟(WGJ)が、同じようなサービスを提供しています。
http://www.writersguild.or.jp/wgj/

しかし、アメリカでの脚本の売買は基本的にアメリカの著作権オフィスに登録しないと絶対に権利の委譲等できませんので、注意して下さい。

この段階で、有名な監督が俳優がすでに名乗りを上げていると、コトを有利に進ませる事が出来る可能性が高いです。

STEP 2: 投資家リストを作る

自分が作りたい映画と同じような規模で、同じような内容の映画を見て、「Executive Producer」の名前をメモしておきましょう。

そして、その「Executive Producer」が誰でどこの会社に勤めているか調べてみましょう。

投資ファンドだったらビンゴです。コンタクトとれるようであれば、コンタクトをとりましょう。もしかしたら、資金が調達出来るかも・・・。

しかし、どうやってコンタクトをとれば良いのでしょう。映画を見ているだけでは、詳しい情報は分かりません。そこで、IMDBという、映画のデータベースサイトの有料版を使います。

IMDB Pro
http://pro.imdb.com/

私もここの会員で、月13ドル、もしくは年会費99ドルを払っています。無料版もありますが、そこでは詳しい情報がゲット出来ないので、仕事の関係もあり、ここの有料サイトを使用しています。

ここでは、各制作会社(Production Company)のプロフィールも載せられており、場合によっては、そのExecutive Producerがどこの会社に所属しているかの情報燃える事が出来、住所や電話番号も入手可能です。

他にも、

TV Tacker
http://www.tvtracker.com/

で、ここはテレビが中心ですが、情報が得られます。ここの良いところは、テレビやマーケティングの会社に勤めている人の人事異動の情報をいち早く入手出来るところです。ここのメインのサービスも有料です。

例: 映画投資ファンドの見つけ方

具体的な例を挙げると・・・。

バベル(BABEL)

役所広司さんや、菊池凛乎さんも出演している「バベル」 です。

これをIMDB Proで検索してみましょう。
ちなみに、無料版での検索結果はこちらです。

http://www.imdb.com/title/tt0449467/

さて、前回のポストで 説明しました、Executive Producerを探しましょう。無料版では「Produced By]の欄におられます・・・って、いない。おそらく投資ファンドの方の名前を出さず、隠れておられます。投資ファンドの会社のクレジットがどこかに隠れ ていると思います。

ページをスクロールして、「Production Company」の欄に行きましょう。左のリンクの「Overview」セクションに「Company Credits」というセクションがあります。

具体的な無料版へのリンクはここです
http://www.imdb.com/title/tt0449467/companycredits

てな感じででてきました。
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Paramount Pictures (presents)
Paramount Vantage (presents)
Anonymous Content
Zeta Film
Central Films
Media Rights Capital
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こ こで、投資ファンドと、配給会社、制作会社との線引きをします。パラマウントピクチャーズは、ハリウッドのメジャースタジオです。配給元でもリストされて います。おそらく、この映画にメインの投資はしていません。パラマウントヴィンテージは、パラマウントのインディー映画専門のレーベルです。制作プロダク ションでリストされているのは、おそらく、彼らが配給権を撮影に入る前にゲットし、撮影の前から、難らからのサポートを行ったとか、撮影後に購入して、 ちょっと制作の面でお金を出して、作品に手直しを入れさしたからでしょう。基本的に、「バベル」の制作費のメインの部分は投資ファンドから作られたイン ディー作品です・・・。というか、そのことを事前情報で知っています。なので、パス。でも、将来、このような映画を制作したときに、パラマウントが配給権 を買ってくれるかもしれないということをメモ。

Anonymous ContentはメインはCMなどを作る広告向けの制作プロダクション。多数の監督さんやプロダクションマネージャーさんが在籍しています。時間をかけた くないので、詳しいリサーチはしませんが、過去の彼らの動向から、おそらく、スタッフやアソシエートプロデューサーが、この作品に撮影等の制作自体に参加 しているでしょう。もしかしたら、お金を捻出しているかもしれませんが、会社の性格上、パス。

Zeta Filmsは、メキシコの会社。IMDBには詳しい情報は載っていませんが、「バベル」の監督はメキシコ人。そして彼の過去の作品の何作かに関わっている ので、制作会社です。撮影も一部メキシコで行われましたし、おそらくメキシコでの撮影のときにメインに参加したからでしょう。メキシコを題材にした映画な らば、相談しても良い制作会社としてメモしておきましょう。でも、投資会社としては(?)マークです。

Central Filmsは、ちょっと分かりにくいですが、今日現在、IMDB Proのページに、プロジェクトの一つの権利を買い取ったとリストしてあります。権利を買い取るというのは、制作するのにお金を集めているというので、投 資ファンドかもしれません。「確信ないけれど投資会社だと思う」でメモしておきます。

そして、最後。Media Rights Capital。名前からしてビンゴです。名前を日本語にすると「メディア」の「権利」の「資本」。これは、名前だけからして確実に投資ファンドですが、IMDB Proの彼らのページには・・・

http://pro.imdb.com/company/co0194736/(お金を払うか、14日まで試用期間無料。ただし、入会のときにクレジットカードの情報を入力し、それまでに退会処理をしないと行けません)

彼 らのページには「Funding」「Funding」「Funding」の文字が・・・「投資中」「投資中」「投資中」です。完璧に、制作会社ではなく て、お金を集めるだけが目的の会社です。彼らの過去から現在までの携わっているプロジェクトの特徴を捉え、自分の作品が、それに見合っているのならば、絶 対コンタクトをとりましょう。ちなみに、Proバージョンでは、会社の電話番号やFAX番号も公開されています。

てな感じで、映画投資ファンドの情報を得られます。

さて、これがお金がもらえそうな投資ファンドの探し方です。

ただ、いきなり、これらの会社にコンタクトをとっても、おそらく、自分がハリウッドやヨーロッパで有名なプロデューサーか監督ではない限り、旨くいって権利を買収されて、お金がもらえるだけで、自分が監督やプロデューサーになって最後までやって行ける可能性は、無理です。

なので、自分がプロデューサーとして、監督としてその作品に携わりたいのであれば、彼らにコンタクトをとる前に、いろいろ防衛策をとらなくては行けません(その防衛策は機会があれば、また書きます)。

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さて、他にも制作された投資ファンド系の映画として・・・。2年前にアカデミー賞を受賞した・・・

クラッシュ(Crash)

があります。最近は、ヨーロッパからの投資ファンド系でアメリカ、もしくはアメリカのスタッフで制作映画のアカデミー賞候補が多くなって来ました。

おまけ

ブラックダリア(Black Dahlia)

は、 おそらく、初ヨーロッパの資金を投入し、50億円という資金を投入し、ハリウッドの有名な俳優を雇い、ブルガリア(アメリカ大陸以外)で撮影された作品で す。舞台はロサンゼルスなのに・・・。これをロサンゼルスで撮影したら、100億円はしたかもしれません。これだけの規模でアウェイで撮影されたハリウッ ド規模の作品としては初と言っても良い作品です。

ラストエンペラーなど、過去に海外資本で規模の映画は制作されましたが、ロサンゼルスでとれるはずの映画を、英語圏でないブルガリアで英語の映画を、これだけの俳優、スタッフで撮影された規模としてはという初めてという事です。

制作会社は、私が昔インターンしていた会社で、その時がちょうど撮影のとき。メークアップの材料とかをブルガリアに送る手伝いをやらされました。

いろいろブルガリアで撮影したからこそ出てくる問題点等を目のあたりにしていました。

保険のために、俳優陣に健康診断を受けさせないと行けないけれども、違う映画の撮影をしていて、前作の映画のプロダクションマネージャーや、保険会社に、その健康診断書を保険の申し込みに流用していいか・・・。

この作品はロサンゼルスを舞台にしており、舞台監督もアカデミー賞受賞経験のある大物。コスト削減のためにブルガリアで撮影とはいえ、ロスでいろいろな小道具、大道具を購入して輸送しなくてはならず、バイヤーの人がかなりまいっていた・・・

監 督は、「LA・コンフィデンシャル(LA Confidential)」も監督した大物。その監督が、編集にカナダ人のエディターを迎えたかったけれども、アメリカの移民局が「優秀なアメリカ人エ ディターはいるだろう」と就労ビザの発給を渋っていて、編集をカナダでやるか、監督を説得、エディターを代えて目の届きやすいニューヨークかロスででやる か、もめていた・・・などなど。

また、同じ制作会社が手がけた違う作品。

16 Blocks

なんですが、これ、ニューヨークが舞台なのに、実際の撮影は、コスト削減のために、カナダで行われ、実はニューヨークの某映画の労働組合の幹部をかなり怒らせてしまい、プロデューサーが、隣の部屋で、電話に向かって喧嘩してました。

コスト削減と、アメリカの労働確保の問題。アメリカでも問題になっております。

さて、最後に、こんなものを途中で見つけました。

ドイツにおける日本映画のバイヤーリスト(輸出促進調査シリーズ) 2007年3月
http://www.jetro.go.jp/biz/world/europe/de/reports/05001440

一年前の情報ですが、日本で映画を制作するにあたって、制作の準備段階から、このような配給会社にコンタクトをとって、配給権を売る事が出来ると、投資の数も増えます。


Japan Blog Award 2008ビジネス部門にノミネート!
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