アメリカのNPO“ビジネス”から日本のNPOを考える

今、私は日本にいながら、アメリカの仕事をしています。情報収集は主にインターネットになってしまうのですが、アメリカはネット上の著作権関係の権利に関する規制が緩いので、アメリカで流れているラジオをそのままネットで流している局があります。

そんななか、質の良い音楽が流れ、貴重な情報源でもある、私がいつも聞いているラジオがここ。

KCRW 89.9
http://www.kcrw.com/

私も昔通っていた、短大・サンタモニカカレッジが運営しているコミュニティーラジオ局、KCRWです(アルファベット読みで、「ケー・シー・アール・ダブリュ」と呼びます)

Santa Monica Collegeに通っていた時はあまり聞いていなかったのですが、仕事を始め車での移動が多くなったときに、聞き始めました。

大学のラジオ局という事で、放送施設は大学のカフェテリアの建物の地下にあります。あまり在校生はラジオ局のスタジオがどこになるのか知らない人が多いのですが・・。

しかし、大学のカフェテリアの地下にあるコミュニティーラジオなんですが、全米でも規模の大きいNPOコミュニティーラジオなんです。

年間予算はなんと12百万ドル(約12億円)。

ロサンゼルス郊外にも基地局アンテナが10カ所ほどあり、インターネットでも、ラジオ放送そのまま、音楽専門、ニュース専門チャンネルを24時間放送しています。

内容は、アメリカの公共ニュースネットワークNPRやPRIが制作したニュース番組を放送したり、自局でもニュース番組を制作・放送。それらのニュースネットワークに年間2億円の制作費を提供しています。

ここで制作されるニュースは、どれも質がよく、しかも、他の民放と違い世界中のニュースもきめ細やかにカバーしているので結構役に立っています。昔は英語の勉強にも良く聞きました。

そして音楽も、DJがレコード会社にとらわれないオリジナル選曲で、クラブミュージック・R&Bを中心に放送しています。また、大規模なコンサートイベントも時々企画しています。

実は個人的にも彼らの選曲する音楽が大好きで、あまり、チャート入りしないけれども、質のいいクラブミュージック等を聴く事が出来て、仕事もはかどっています。

寄付から成り立つアメリカのNPO活動

アメリカの公共放送は、日本のNHKと違い、視聴者からの寄付から成り立っています。

つまり、年間12億円のうちの大半が、視聴者が自発的におこなった寄付金で運営資金を捻出しているのです。

しかも、ラジオ放送自体は寄付をしなくても無料で聞く事が出来ます。

さて、ここで、日本の公共放送とアメリカの公共放送の違いが出て来ます。

さて、アメリカで行っているNPO公共放送の運営の仕組みはどうなっているのでしょう。これはアメリカでのNPO全般での運営方法にも似ています。

アメリカの公共放送ではある程度の企業からのスポンサーを募る事が許されています。また、有名なビル・ゲイツさんが、自分の潤沢な資金を活用出来るように財団を設立しましたよね。それらの財団もこういった公共放送の資金の一部を提供しています。

なので、アメリカの公共放送では、コマーシャルがあるのです。ただ、一般のコマーシャルよりは一歩下がって、企業の理念などのキャッチコピー等にとどまり、具体的な商品やサービスのセールスは行いません。

これは今でもいろいろ議論されていますが、企業や団体だけでも資金調達は、最終的に公平な放送が出来ません。企業や団体からの寄付はどれだけ受け取っていよいのか、アメリカの公共放送の永遠の課題です。

なので、今のところ、これら公共放送の運営資金の大半は、視聴者からの寄付金でなされています。

しかし、スクランブル放送をしていない公共放送。払わなくても聞く事が出来るのに、どうやって資金を調達しているのでしょうか。

まずは、NPOとしての利点を利用しています。

寄付が税金控除の対象に

アメリカは、基本的に、すべての人に税金の確定申告を義務づけています。サラリーマンでもです。しかも、ほとんどの会社は源泉徴収を多く見積もって納めているので、サラリーマンの多くは、確定申告をしないと、会社が多く支払った税金を取り返す事が出来ないのです。

そ うして、そのときに、こういったNPOに寄付をした事も申請します。そうすると、寄付をした金額のうちの一部が、税金控除の対象となり、税金が帰ってくる 金額も多くなります。ということで、「税金を納めて、自分のお金がどうやって使われるのか分からないより、コミュニティーラジオや博物館等の運営に寄付出 来る」となるのです。

そうして、それは個人のみならず、企業にも言える事で、NPOと認定された団体に寄付をする事によって、社会に貢献しているということをアピールするのみではなく、税金の節約にもなるのです。

た だし、税金が控除出来るのは、それだけ個人の所得や会社の利益がないと恩恵が受けられないのと、ほとんどの人は、そんな面倒くさい計算をして自分がいくら 税金を節約しているのか計算している人は少ないので、アメリカのNPOは税金が控除出来るという事はあまり宣伝していません。

それよりも、寄付をした人がどういった恩恵を受けられるのかを焦点にした活動をし、寄付を募っているのがほとんどです。

NPOラジオ放送局の運営資金の捻出方法

KCRWの場合はこうです。

ある一定の寄付、今の時点では50ドル以上の寄付をすると、メンバーカードを交付し、企業スポンサーで、商品を売っているところや、レストラン等の割引の特典を受けられるようにしています。

つまり、企業スポンサーは、寄付をして、税金を控除でき、ラジオ局のホームページ等に自分のお店、レストラン、劇場などを紹介してもらえ、宣伝にもなります。

個 人で寄付している人は、常に通っている本屋さん、レストラン、スパ等が、KCRWのメンバーシップのメンバーで割引を受け付けているので、もしそれらの商 店に行って割引額の総額が結果的に寄付した金額よりも割引した金額が多くなる可能性がある。そして、自分の好きなラジオ局のサポートもしているという充実 感を味わえます。

また、このラジオ局は、コンサートやグッズの、プレゼントの参加者をメンバー限定としています。つまり、まず寄付をしないとコンサートのチケット等のプレゼントの応募が出来ないようになっているのです。

25ドルで、ラジオ局のプレゼントに応募出来る資格が出来る。しかもプレゼントは抽選ではなく、プレゼントが発表されてから、電話で早い者勝ち戦。

50ドルで、割引が出来るメンバーカードを交付。そして1つの特典、Tシャツや音楽CDをもらうことができる。。

100ドル以上だと、3つの特典、Tシャツや音楽CDなどを3つ選べる事が出来。

365ドル以上で、上記の得点に加え、航空会社のマイレージか、定期的にDJが選んだCDが送られて来るか、読書の番組のパーソナリティーが選んだ本が定期的に送られて来、そして毎月行われるラジオ局の映画の試写会に無料で参加出来る・・・。

などなど年間25ドルから2000ドルまでのレベルで特典をもうけています。

また、年2回行われる募金キャンペーン期間では、参加しているお店、レストランやホテルなどが、割引券や特別な商品を提供しており、その期間にメンバーになると、さらに得点を受ける事が出来るようになります(そして企業側では自社の宣伝になります)

NPOとしてののジレンマ

ということで、ここまで来ると、寄付を受け取るために、かなりのお金を使っていることになり、もう立派なビジネスモデルです。

NPO側は、立派に商品・サービスを売り、寄付する個人や企業は、それらを買っていることになります。

商業的すぎるという批判はあるのですが、しかし、完全に独立した運営をするにはどうしてもお金が必要で、寄付金を募るという努力もしなければ行けません。バランスをとるのは常に難しいですね。

ここで疑問「NPO」の認識の間違い

ここで一つ疑問がある方もいらっしゃるとおもいます。

NPOとは、Non-Profit Organizationの略。つまり利益を求めない団体です。

しかし、大半の人がお金儲けをしてはいけないので、NPOの活動はお金を徴収しては行けないのではないかと間違った認識をされる方がいらっしゃいます。

もちろん、中には報酬をほとんどとらずに運営に参加している役員もいらっしゃるのですが、活動を永続的に続けようと思うと、フルタイムのスタッフが必要になり、資金を運営するために会計士を雇ったりする必要が出て来ます。

また、事務所も借りなければ行けません。パソコン等の備品を調達する必要があります。電話大も捻出しなくては行けません。それらの資金を捻出する必要が出てくる訳です。

ということで、団体の趣旨に会うのであれば、ある程度の商業活動をアメリカでも日本でも認められています。

そして、どこが、Non-Profitなのかというと、例えば、なにか、商品を売る等の収益活動をして利益がでたとします。その利益を分配出来ないのです。

会社の会計に携わっている方には、役員には給料は払えるけれども、役員報酬は払えないといったら分かりやすいでしょうか・・・。

すごく簡単に説明すると、フルタイムでNPOの活動に参加するスタッフが生活するための「経費」は払っても良いけれども、予想よりも多く集まった寄付金や収益金を、ボーナスとして分ける事が出来ないのです。

時 々、アメリカのNPO団体の役員が年間億単位で報酬を受け取っているという批判も受けています。寄付金をより多く集められ、安定した運営資金を捻出するに は、それなりのマネージメントが必要になる訳で、そういった人材を集めるには一般企業の役員並みの報酬を求められることになります。

日本のNPOは

日本のNPO制度は始まったばかり。

「地域のボランティア活動を活発にしたい」「地元の無形文化を温存させたい」など、思いもあると思います。

しかし、文化会館や公民館を借りるにもお金が必要になって来て、一個人だけがやっきになった自費で捻出するにも限界があります。

NPO団体になるという事は、社会の活動の一環となり、自分一人のものではなくなります。

あと、よく間違われるのですが、既にボランティア活動をしているからといって、それがNPO団体であるとは限りません。NPOとは、日本では、地方自治体や内閣府にきちんと登録してある法人団体の事です。

ただ単に、一個人のボランティア活動として活動を続けるのか。NPO法人として活動を続けたいのか、これを参考にしてくださいませ。

日本のNPOお役立ちリンク

ファストウェイ
http://www.fastway.jp/

NPO法人設立をサポートするNPO法人

NPO/NGO Walker
http://www.npo.info/

多くの方々がNPO/NGO、ボランティア、コミュニティ・ビジネスなど、幅広い市民活動に参加していただけるよう、これらの情報を多くの方々にお届けしているグループです。

内閣府 NPOホームページ
http://www.npo-homepage.go.jp/

NPO法人制度や手続きの解説、内閣府申請・認証団体に関する情報公開、ボランティア団体のイベント情報の提供等を目的として、内閣府国民生活局市民活動促進課が運営

cc common dummy placement