黒人映画はアメリカでも売れない?アメリカにもまだある人種の壁

さて、遅くなりましたが、一昨日、大阪出張の電車の中で聞いていたアメリカのエンタメビジネス番組で黒人向け映画にちょっとだけ変化の変調が現れて来た事を扱っていました。

オバマ大統領も選出されましたし・・・。

今回は、アメリカの映画市場の人種別マーケットについてお伝えします。

<関連記事>
○黒人向け映画プロデューサーと音楽プロデューサーのインタビュー
http://ja.katzueno.com/2008/11/884/
○アジア系の勢力。アメリカ大統領選挙の裏側
http://ja.katzueno.com/2008/11/874/

○“売れない”黒人主演の映画に変化が?

最近、日本にやってくるハリウッド映画でアフリカ系の俳優が主役になっている映画が少なくなっている事に気がつかないでしょうか?

昔はエディーマーフィーの映画などがどんどんと日本にやって来ましたが、いまではあまりやってきませんよね。

実は、アメリカではアフリカ系の俳優さんが主役になった映画がたくさんリリースされているのですが、内容が、アフリカ系向けのジョーク等がちりばめられており、受けが良いのがアフリカ系の観客のみ。

なので、最近はエディーマーフィーが主演している映画でも、ジョーク等が内輪ウケするものだけだったので、白人の観客に受けない、予算が削られる・・・という悪循環が続いていました。

それが、一昨日紹介した番組で、やっと黒人が主役を務める映画が白人に再び受けるようになって来たという事を取り上げていました。

○Bradley Effect at the Movies; Danny Goldberg and the Music Biz
http://www.kcrw.com/etc/programs/tb/tb081103bradley_effect_at_th

「The Secret Life of Bees」という、ダコタ・ファニング(Dakota Fanning)、クイーン・ラティファ(Queen Latifah )、ジェニファー・ハドソン(Jennifer Hudson)、アリシア・キーズ(Alicia Keys)主演の映画がさきほど公開されました。

○The Secret Life of Bees

http://www.foxsearchlight.com/thesecretlifeofbees/ (公式英語サイト)

プロデューサーのJoe Pichiralloが、最近の黒人が主演している映画の動向についてインタビューに答えています。

この、「シークレットライフ・オブ・ビーズ」という映画、私は予告編を見ただけですが、内容は、母親のいないダコタ・ファニング主役のリリーが、今はいない母親の秘密を求めてサウスカロライナの町を訪れ、蜂蜜を作っている黒人一家のもとに住み込んで・・・という話です。

この映画はインディー映画で、予算は1100万ドル(約11億円)。10月17日にアメリカで公開され、オープニングで11億、今現在の累計で30億近い興行収入を得ています(IMDb Proの有料データベースより)

インディー映画で30億の興行を得られるのは大成功です。インディー映画のファンは白人層が多いのですが、それを見事に取り入れ、黒人の主役が多いのに大成功をおさめました。

主役にダコタ・ファニングを起用した事もプラスに転じたようです。彼女はナタリー・ポートマンみたいな演技俳優を目指しているのか、アイドル路線ではなくて、こういったインディー映画に出まくっています。

4年前、ジェイミー・フォックス(Jaimie Foxx)主演で、レイ・チャールズの人生を綴った「Ray」という映画が公開されました。

興行的には日本円換算110億の大成功をおさめましたが、上記のラジオ番組「The Business」によると実際には観客の65%が黒人だったそうです。

なので、この「シークレットライフ・オブ・ビーズ」の興行的成功は、オバマ大統領候補が当選したことと比較して取り上げられていました。

プロデューサーのJoe Pichiralloは、今ではクイーン・ラティーファや、アリシャ・キーズなど、白人の観客に受けが良い俳優・アーティストを起用しているのにも関わらず、黒人以外の観客は、やはりこういった映画に足を運ばないのです。

これは、日本人の私たちには「?」な事だと思いますが、黒人は黒人、白人は白人に受けるものに違いがあります。これは、白人と黒人が未だに別々のカルチャーを持っているという事だからです。

○実際に住んでみないと分からない黒人のカルチャー

実はですね、お金のない映画関係者が絶対に一度は経験する事ですが、数年前、「Asian Stories」の映画を作っていたときに、プロデューサーなのに「Couch Surfing」を1年ほどしていたことがあります。

ちなみに、Couchは日本語で、ソファー。Surfingはサーフィン。

つまり、映画に時間とお金を費やしすぎて、ホームレスになってしまい、友人の家を泊まり歩いていた訳です。若いときにしか出来ない技ですね〜。

いわいる、「ホームレス・プロデューサー」だったわけです。違うプロデューサーも、自分の家を売ったりと、大変でしたが楽しい一年でした〜。

ま あ、そのときに、一年間で、いままでいろいろな“貸し”をした友人たちのアパートを渡り歩きました。時にはロス郊外のレドンドビーチの住宅街。時にはメキ シコ系とトレンディー系の人たちが同居しているシルバー・レイク。そして、私の最後のCouch Surfingの場所は、ロス暴動の現場近くであるコンプトンの外れの黒人向け中高級住宅街に住んでいた黒人の友人でした。

シルバー・レイクの時は、映画監督の友人の家に泊まり込ませていただきました。

場 所は、「アンジェリノ・ハイツ」というロサンゼルスで一番古い住宅地でビクトリア潮の建物が隣に建っていたり、ロサンゼルスの隠れスポットです。レンタ カーぐらいでしか行けませんので、ロサンゼルスによったときに、ありきたりの観光スポットに飽きたら、このアンジェリノ・ハイツを訪れてみて下さい。ただ し、昼間に。

とある朝、家の目の前に泊まっていたワゴン車の窓ガラスが割れていたり、夜な夜な、明らかにドラッグディーラーである人たちがたむろしていたり、結構近くで銃声が聞こえたり・・・。そういうことが夜はあります。

とにかく、話はそれましたが、そこから、コンプトンの近くの住宅街に住んでいる友人の家に数ヶ月住まわしていただきました。

それでですね、不幸は続く訳で、黒人の友人の家に引っ越したぐらいのときに、不運にもメカニックの御陰で、私の車がぶっ壊れてしまいました。

黒人の友達の家は、黒人で全米で一番のお金持ちが住んでいる住宅街に会ったので治安は良かったのですが、しばらくバスで通勤しなければ行けなかった私は、ちょっっと治安の悪いところも通らなければ行けなかったのです。

今考えれば、よくもまあ、襲われなかったな〜と思います。夜の10時に、ホームレスの隣でぼーっとバスを待っていましたし、時々、歩いていたら「この先で殺人事件が起こったから」とかでパトカーが道を塞いでいたり・・・。

でも、バスを待っているときに、同じくバスを待っている女子高生の黒人の女の子と「バス遅いね〜」と世間話をしたり貴重な経験をさせていただきました。

そこの地域のデニーズや、スタバも店員さんが結構常連さんを覚えていてフレンドリーでした。差別をされ、治安が悪かったりホームレスが多かったりしましたが、そのために強い連帯感が生まれていました。その中をちょっとだけ体験する事が出来たのです。

なので、この経験をされていない皆さんに簡単に説明するのは難しいのですが、黒人の主役のテレビドラマや映画が黒人以外の観客に受けないという実際の問題を、私は肌で感じる事が出来たのです。

話を、上のラジオ番組に戻しますが、プロデューサーのJoe Pichirallo氏は、そんな文化の違いがあるので、白人や他の人種に受ける映画を作るのは難しいけれども、ダコタ・ファニングの起用等をして、白人にもうけるような映画作りを目指したとの事です。

オバマ大統領候補の当選もありますし、今後の黒人主役の映画がどうなるか注目です。

○日本人は、アメリカでは映画は作れない?

この事をふまえて、今、アメリカで、映画を作っている日本人の方へ。

時々、黒人や白人が主役や重要な脇役で映画を作っている人がいますが、キャラの設定が弱いという作品を良く見ます。

同じように、白人の映画を作ろうと思っている人。白人の中にもイタリア系、ユダヤ系、イギリス系、ドイツ系など、同じと思えるけれどもバックグラウンドが微妙に違います。

もちろん日本人に向けて作る場合はそんな事を気にする必要がありませんが、作っているアメリカでアメリカ人に受ける作品を作ろうと思うと、そういうことを気を付けないと、えらい間違いを犯します。

イタリア系の主人公なら、イタリア系の顔の俳優を雇いましょう〜。ユダヤ系の俳優を雇っちゃダメですよ〜。

今回は黒人映画を中心に話したので難しかったと思いますので、明日は、これをふまえて、アジア系はハリウッドでどうなっているかをお伝えしたいと思います・・・。

ちょっと前、アメリカ従軍慰安婦問題の事を書くといいましたが、コメント等で映画関連の話をという事で、しばらく映画関連の記事を書く事にします

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