和食で作ろう、健やかニッポン

この記事はクリエイティブコモンズライセンスではありません。

作者様が、転載歓迎としているので転載させていただきます。

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国柄探訪: 和食で作ろう、健やかニッポン

ビタミン、ミネラルの豊富な和食が、
現代病を克服し、心身の健康を作る
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■1.国際的に広まっている和食■

先日、アメリカへ行って実感したのは、和食が市民生活に着
実に浸透しつつある、という事だった。

1週間ほどかけて、アメリカの2、3の都市を訪問し、現地
に駐在している日本人ビジネスマンたちと会食の機会を持った。
すると、皆、申し合わせたように日本食レストランに連れて行っ
てくれるのだが、それが毎日違う店なのである。それほど、日
本食レストランがあちこちにできている。日本人による「純正」
のレストランばかりでなく、韓国人や中国人経営のものも多い
らしい。

しかも各店とも、日本人客はかえって少数で、多くの現地の
アメリカ人客で賑わっていた。それも昼休みにサラリーマンが
うどん定食をとる、とか、家族で天ぷらや寿司などの夕食を楽
しむ、とごく日常的に和食を食べている光景が見られた。結局、
私もアメリカに行きながら、毎晩和食ばかりで、ステーキなぞ
一度も食べられずに帰国した次第であった。

さらに「通人」の間ではマクロビオテック(健康長寿を意味
する)といって、玄米、味噌汁、野菜、海藻など伝統的な和食
によってガン、糖尿病、心臓病、動脈硬化などの現代病を予防
しようとするなる食事療法も広がっているという。トム・クル
ーズ、マドンナ、ジョン・トラボルタ、シャロン・ストーンな
どの一流映画スターがその実践者として知られている。[1,p28]

■2.和食は肉体的精神的健康に良い■

和食が肉体的にも精神的にも良いという事実は、いろいろな
データで示されている。

広島県の二つの中学で約12百名の生徒を対象に、食生活と
健康に関するアンケート調査が行われた。生徒を片や、野菜、
大豆類、海草類、根菜類などをよく摂る和食派のAグループか
ら、中間のB、C、Dを経て、ハンバーグ、ラーメン、コーラ
類の多い加工食品派のEグループまで、5つのグループに分け
た。

和食中心のAグループと、加工食品を多く摂るEグループで
は、健康状態でくっきりとした違いが見られた。

・いらいらする事が多い  A:38%、E:92%
・ゆううつになる事が多い A:16%、E:73%
・めまいがする事が多い  A: 7%、E:81%
・根気がなくあきっぽい  A:23%、E:85%

B,C,Dグループは、このA,Eの中間に位置し、Eに近
づくほど、悪くなる傾向が出ている。また、この比率は男子の
データであるが、女子もまったく同じ傾向が見られた。[2,p77]

Eグループの典型例が、[2]に二つ紹介されている。

二人とも、落ち着きがなく、教室で10分と座っていられず
ふらふら歩き回る、人の話が聞けない、いつも身体がだるいと
訴える、という症状をくり返していた。無理にじっとさせると、
癇癪を起こすのが常だった。

この二人のある日の食生活は、次のようなものだった。

A君: 朝  なし
昼  給食で野菜、魚は食べない。ハンバーグな
どの好きなものは、人の分までとって食べる
間食 ジュース、ポテトチップ、インスタントラ
ーメン
夜  ハンバーグ1個

B君: 朝  食パン2分の1枚
昼  給食。嫌いな野菜、魚は食べない
間食 ジュース、アイスクリーム、インスタント
ラーメン
夜  カレーライスのみ

二人の食生活も症状もそっくりだったのである。

■3.「現代型栄養失調」■

前述のハンバーグ、ラーメン、コーラ、さらにはアイスクリ
ームやポテトチップなど、高カロリー、高脂肪、高たんぱく、
高糖質(特に砂糖など)の加工食品ばかり食べていて、慢性的
にビタミン、ミネラルなどが不足している状態を、[1]の著者、
医学博士の鈴木雅子氏は「現代型栄養失調」と呼んでいる。

たんぱく質や脂質、糖質を車を動かすためのガソリンと喩え
ると、ビタミンやミネラルはエンジンの回転をスムーズに伝え
るための潤滑油の働きをする。潤滑油がなければ、いくらガソ
リンを燃やしてエンジンを回しても、摩擦ばかりで身体や心が
スムーズに動かない。

ビタミンやミネラルなどは、食品を加工すると失われてしま
う。上述の加工食品は、いずれも2回、3回と加工を重ねてお
り、そのたびにこれらの微量栄養素が失われていく。

たとえば、ポテトチップは、昔はジャガイモを薄切りにして
油で揚げていたが、現在では皮を剥いたり、薄く切ったりしな
くてもよいように、ジャガイモからデンプンを抽出し、さも薄
切りしたかのように成型して作られる。

もともとのジャガイモは、C、B1、B2などのビタミン、
カリウム、亜鉛などのミネラルを豊富に含んでおり、「美と健
康の源」とまで言われる食物だが、これだけ加工されると、ビ
タミンもミネラルも失われてしまう。

このようにポテトチップスのような加工食品ばかり食べてい
ると、「現代型栄養失調」になってしまうのである。

■4.ビタミンが不足すると■

まず、ビタミンについて見てみよう。人間に必要なビタミン
は12種類あるが、体内では合成されないため、必要量を食物
を通じて摂取しなければならない。

ビタミンが不足すると、頭が痛い、疲れやすいなどの症状が
出てくる。体外から侵入してくる細菌やウイルスと戦う免疫シ
ステムが弱くなり、風邪や他の病気にかかりやすくなる。

また精神的なストレスを受けると、ビタミンCが大量に消費
される。そしてビタミンCが足りなくなると、ガンや糖尿病を
引き起こす活性酸素の害を抑えることができなくなる。

ビタミンCは野菜や果物に多く含まれているから、これらを
しっかりと摂っていれば、ストレスの多い現代生活でも、ガン
や糖尿病にかかりにくくなる。

ビタミンEも同様に、活性酸素の害を防ぐ働きを持つ。ビタ
ミンEは緑黄野菜、穀物、大豆などに多く含まれている。

結局、伝統的な和食で、野菜や果物、穀物、大豆などを多種
類食べていれば、自ずからビタミン不足は解消されていくので
ある。

■5.いらいら、骨折はカルシウム不足から■

ミネラルは、人間が必要とするものとして約40種ある。鉄
やカルシウムが代表的なミネラルである。

ずいぶん以前から、子どもの骨が弱くなった、ちょっとした
ことですぐに骨折する、と言われてきた。これはカルシウムの
不足による。カルシウムは骨や歯を作り、またいらいらを抑え
る働きがある。前述の中学生対象のアンケートで、加工食品派
の92%が「いらいらする事が多い」と答えているには、これ
が原因だろう。

砂糖の摂り過ぎも、骨を弱くする。コーラやアイスクリーム
などで、砂糖を大量にとると、体内が酸性となり、それを中和
するために血中のカルシウムが使われる。

血中のカルシウムが少なくなると、心臓が止まるなど生命に
危険が及ぶので、身体の方はこれ大変と、骨や歯のカルシウム
を溶かして、血液中に供給する。これが行き過ぎると、骨は弱
くなり、また血液中のカルシウムが石灰化して血管中に溜まっ
て動脈硬化を引き起こす。

カルシウムを摂るには牛乳が一番だと多くの人は思っている
が、現代の日本人は、半世紀前よりもはるかに多くの牛乳を飲
んでいるのに、骨折は倍以上になっている。昔の日本人は伝統
的な和食から、はるかに多くのカルシウムを摂っていたからで
ある。

100グラムあたりのカルシウム量で見ると、普通牛乳は
110mgだが、コマツナは170mg、切り干し大根は540mg、ゴマ
(乾燥、炒り)は1200mg、煮干しに至っては2200mgと牛乳の
なんと22倍。牛乳を飲むより、これら昔からの食材の方が何
倍も効率的にカルシウムを摂れるのである。

和食の中心である米もカルシウムを含んでいる。さらに米は
鉄、ナトリウムなどのミネラルを含み、その上、良質なたんぱ
く質とともに、各種ビタミンを含む優れた食物である。

■6.「地産地消」■

このように穀物、野菜、魚を中心とした和食は、現代病の多
くに効果がある。しかし、現代では多くの農作物が輸入されて
いる事に注意しなければならない。

日本国内で生産されたものなら、全国どこでも2日程度のト
ラック輸送で届けることができる。しかし、外国産では船積み、
海上輸送、税関、それからようやく国内輸送とはるかに長い期
間がかかる。その間、腐らせず、カビを発生させないようにす
るためには、どうしても薬品を使わざるを得ない。

また、海外では農薬の基準が日本よりもゆるやかな場合が多
い。特に中国製食品が危ないのは、[a]で紹介した通りである。
ファストフードや加工食品は、外国製の農産物を使うことが多
いので、要注意だ。

したがって、穀物や野菜にしても、なるべく国内産のものを
選びたい。さらに国内でも、その土地でとれたものを、その地
で食べるのがよいとされている。これを「地産地消」と言う。

■7.旬を食べる■

食物の摂れた場所とともに、季節も考える必要がある。よく
「旬を食べる」と言うが、魚介類も野菜も、それぞれ特定の出
盛りの時期がある。この時期には、子孫を残す準備として、たっ
ぷり栄養素を蓄えている時だから、味も良い。

現在ではトマトやキュウリなどは、ハウス栽培されて一年中、
店頭に出回っているので、いつが旬なのか、分かりにくくなっ
てきている。しかし、出盛りの時期には値段も安く、大量に出
回る。

同じ生野菜でも、現代のものは数十年前のものに比べて、ビ
タミンやミネラルが大幅に減少しているというデータがあるが、
これもハウス栽培のものが増えていることが原因のようだ。

たとえば、ほうれん草の100gあたりのカルシウムは、
昭和38(1963)年に98mgであったのが、平成13(2001)年
には49mgとほぼ半減している。ビタミンCは100mgか
ら35mgへと3分の1になっている。

我が国土は四季が豊かで、果物一つとっても、春はイチゴ、
夏はスイカやモモ、秋はナシやブドウ、冬はリンゴやミカンと、
四季折々に旬のものがおいしく食べられる。自然の恵みの素晴
らしさを子どもたちに教えるためにも、旬を食べたいものであ
る。

■8.手軽な和食■

そうは言っても、いつでもどこでも簡単に手に入るファスト
フードや、加工食品に比べて、和食は作るにも手間がかかり、
外食も割高だ。そこで[1]では、手軽な和食メニューを紹介し
ている。

まずは、コンビニで総菜を買うことだ。野菜の煮物、おひた
し、キンピラなどの総菜を買ってきて、これにごはんと味噌汁、
焼き魚を加えれば、本格的な和食メニューのできあがりである。

味噌汁はとても応用の利くもので、具として何を入れても合
う。野菜、海藻、豆腐、キノコ類など、いろいろ入れて、バラ
ンスよく食べることができる。

子どもの好きなカレーにしても、冷凍のミックスベジタブル
を使うと良い。レトルト食品のカレーを使っても、ミックスベ
ジタブルを混ぜることで、栄養価はぐっと上がる。

本格的な和食メニューは難しくとも、こうした工夫で、子ど
ものビタミンやミネラルの摂取量はぐっと上がるはずである。

■9.「身土不二(しんどふじ)」■

「身土不二(しんどふじ)」という言葉がある。「人間の身体
とその土地とは不可分である」という意味であり、さらには
「その地に住む人は、その地の食物で作られている」と解して
も良いであろう。

米食を主食にしてきた日本人の腸は1.5メートルあるが、
肉食をしてきたヨーロッパ人は1メートルほどしかない。もと
もと人間は、それぞれの地で、そこで取れる食材を食べて、そ
れに適合した身体を発達させてきた。だから、その地で得られ
る旬のものを地産地消していれば、必要な栄養が摂れるように
なっている。

特に日本列島は、豊かな国土に、四季折々の野菜や果物が豊
富に取れ、さらに取り巻く海では暖流と寒流がぶつかりあって、
多様な魚介類の宝庫となっている。そのような豊かな食材をバ
ランスよく取り入れて、ビタミンやミネラルを満遍なく摂れる
ようにしたのが、伝統的な和食なのである。それは日本列島の
自然の恵みと我が先人の知恵の見事な融合といえる。

人間と土地とのつながりを断ち切ったのが現代アメリカ文明
で、缶詰食品やファストフードなど、高度に加工した食品をい
つでもどこでも食べられるようにした。しかし、それはビタミ
ンやミネラルの不足した欠陥食品だった。

現代日本人がこの国土のもたらしてくれる豊かな食材と、先
祖の智恵を忘れて、米国流の欠陥の多い加工食品ばかり摂って、
「現代型栄養失調」に陥っているのは、いかに愚かしいことか、
まずはそれに気がつくのが先決であろう。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(530) 中国の危ない食品 〜 民は信無くんば立たず
食品業者も、地方役人も、そして中央政府も、国中が騙し合
いを続けている
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog530.html
b. JOG(527) 国柄探訪: 夢と誇りを持てる農業を
伝統的な「土づくり」と近代的な経営とで、農業は大きな夢
を持てる職業となる。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog527.html
c. JOG(557) 瑞穂の国と食糧危機
迫り来る食料危機に対して、世界最大の穀物輸入国・日本は
いかに対処すべきか。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h20/jog557.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
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1. 持田鋼一郎『世界が認めた和食の智慧 マクロビオテック物語』★★
新潮新書、H17
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/410610105X/japanontheg01-22%22
2. 鈴木雅子『子どもは和食で育てなさい』★★★、
株式会社カンゼン、H17
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901782576/japanontheg01-22%22

■ 編集長・伊勢雅臣より

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