ラスベガス映画祭レポート (1)

報告がかなり遅れてしまいましたが、なんだかんだ言ううちに、いろいろ良いニュースが飛び込んで来ているので、今になってしまいましたが、6月中旬にラスベガスで行われた映画祭、「CineVegas Film Festival」に行って参りました。

○CineVegas Film Festival 公式サイト
http://www.cinevegas.com

当社が参加したインディー映画「Etienne!」のワールドプレミアに参加する為です。

監督やプロデューサーと同行。また映画祭のレポートを、ロサンゼルスのエンタメ雑誌Entertainment Todayの記者としても行いました。

実は、私、ラスベガスから車で4時間。飛行機で30分というロサンゼルスに10年近く住んでいながら、一度もラスベガスに行った事はなかったのです。

友人たちにも「なんで今まで一度も言っていなかったの」と言われていましたが、自分は、「自分は、自分の人生をかけてギャンブル(映画制作)をしているから、わざわざラスベガスに行く必要はない〜」と言って来たのです。

しかし、制作に関わった映画が、ラスベガスで公開されるとなれば別です。ということで、6月中旬にラスベガスに行って参りました。

○波瀾万丈の幕開け

ということで、ラスベガスには、「Etienne!」のプロデューサー。そして10年来、一緒に映画を作って来たスイス人のプロデューサー、ジャクーンの車で行くことになりましたが、始まりから波瀾万丈。

ロサンゼルスからラスベガスに行く途中、フリーウェーで50台の玉突き事故が起こり、数時間立ち往生してしまったのです!

御陰で、途中にある、オンタリオという町のアウトレットで数時間足止めを食らってしまいましたが、ラスベガスの映画祭中に開催されるパーティーは、高級クラブで行われ、ドレスコードも厳しいとの事。

プロデューサーは、良い靴を持っていないとの事だったので、ショッピングタイム。

私もオンタリオのアウトレットは10年前に一度行ったきりぐらいだったので、久しぶりのアウトレットでした。

ともかく、ラスベガスには予定よりも数時間遅れ、ホテルに午後7時に到着。しかも映画祭開催は7時半から・・・かなりギリギリです。

開会式会場はプラネットハリウッドでしたが、プロデューサーが車を止める駐車場のホテルを間違え、完全に、デニスホッパーが出ていた開会式を逃してしまいました。

見逃した開会式の一幕

とにもかくにも、オープニングナイトの映画にはありつくことができました。

CineVegas 映画祭に取り上げられる映画は、なんとなく奇妙でクレイジーな映画が多かったです。どの作品も、両親や子供と一緒に見ることができませんね(苦笑)私たちの「Etienne!」以外は・・・。

○CineVegas Film Festival で見たおすすめ映画

今回は13本の映画を見ましたが・・・その中でおすすめの映画を勝手に紹介。

「Saint John of Las Vegas」

オープニングナイトの映画です。


    Saint John of Las Vegas
    (USA, 2009)
    Director: Hue Rhodes
    Cast: Steve Buscemi, Sarah Silverman, Romany Malco, Peter Dinklage, Tim Blake Nelson, John Cho and Emmanuelle Chriqui

    Steve Buscemi plays John, an ex-gambler-turned fraud investigator who must return to Las Vegas to investigate an insurance claim.

内容は、過去にラスベガスでギャンブルに溺れ、落ちこぼれになった、スティーヴ・ブシェミ主演のジョンが保険会社の調査員となって、とある交通事故の調査の為にラスベガスに舞い戻ってくることになった奇妙な珍道中が描かれています。

奇妙な登場人物のオンパーレードで面白かったのです。

「Easier With Practice」

その他にも、今回の映画祭で、審査員最優秀作品賞を受賞した「Easier With Practice」

○公式サイト
http://www.easierwithpractice.com/

短編小説集を自費出版した内気な主人公が、巡業の旅に出る事にしましたが、その途中のホテルで、知らない女の人から電話がかかって来ます。見知らぬ女性と、電話越しの関係を築いて行く主人公。

また、この映画も奇妙な映画です。特にオープニングの10分は・・・。子供さんには見せられません・・・。

○「Beetle Queen Conquers Tokyo」(邦題:東京カブト)

ま た、外国人の視点から、昆虫をペットとして買う日本人の「もののあわれ」文化と、カブトムシ業者を描いた、「Beetle Queen Conquers Tokyo」(邦題:東京カブト)。この作品は、サンダンス映画祭でも上映され、このCineVegas映画祭では、ドキュメンタリー部門で審査員特別賞 を受賞しました。

○「Beetle Queen Conquers Tokyo」予告編

http://beetlequeen.com/video.html

○「Beetle Queen Conquers Tokyo」公式サイト
http://beetlequeen.com/

残念ながら映画祭では見ることができませんでしたが、「Etienne!」の日系人監督、Jeffが面白いと行っていたので、監督さんに直接コンタクトを取り、DVDを送っていただきました。

アメリカ人監督から見た、昆虫を・・・そしてカブトムシに熱中する日本人を、子供たち、カブトを売ってフェラーリを買った昆虫業者、学者、そして子供のように昆虫に熱心な老人のインタビューを交えて紹介するドキュメンタリーです。

また、写真では分かりませんが、ビデオの描写もすばらしいものがありました。あえて、日本人の方に見ていただきたい一作です。特にドキュメンタリーを日本で撮られている方には必見です。

○ 「HUMPDAY」

そして、CineVegas Film Festival で見た一番のおすすめの映画がこれ「HUMPDAY」です。カンヌ映画祭でなんかの賞、サンダンス映画祭で観客賞を受賞した、コメディー映画です。めちゃくちゃ面白かった〜。

○「HUMPDAY」公式サイト
http://www.humpdayfilm.com/

あらすじ

    普通に結婚して、普通に生活している夫婦に、主人公ベンの家に、大学時代の親友、アンドリューが突然夜中にやって来ます。

    アンドリューは完全なヒッピー。ベンは本当にごく普通の夫。月日が経って完全に身分や環境が違ったように見えた二人ですが、ひょんな事から、ベンは、アンドリューにとあるパーティーに呼ばれます。

    そこで、ドラッグで完全にイッちゃっている二人が、「ストレートな二人が、ゲイアダルトビデオを作ったら売れるぞ〜」と言い出します。

    クスリの効き目がとれて、正常に戻った二人ですが、男のサガでどうしても引けなくなっていきます・・・。ビデオを撮影する日が近づいてきますが・・・。

この映画は完全なるインディー系の映画で、なんと、ストーリーが即興(インプロ)だったらしいのです。話のアウトラインは決まっていましたが、脚本なしで撮影が勧められたとの事。

なんでも、主人公の二人、 Mark Duplass と Joshua Leonard は、実際でも幼馴染み。ということで、脚本なしの撮影という大それたことができたのでしょう。

しかし、その絶妙でタイミングのあった駆け引きは、臨場感あふれる面白いものでした。

今は、ロサンゼルスやニューヨーク等で劇場公開されていると思います。

○映画祭がアメリカの映画を支えている

私の以前の記事、

○映像コンテンツ後進国日本の課題 – YOSHIMOTO DIRECTOR’S 100からみる可能性
http://ja.katzueno.com/2008/11/866/

でも書いたのですが、最近の邦画は、テレビドラマの延長線上という映画が多いのが現状で、オリジナル映画の台頭が少なくなって来ます。

映画は芸術といえども、他のメディアに比べてお金がべらぼうにかかります。ですのでビジネスを無視しては映画は作ることができません。

アメリカでは、映画祭は、地域活性、芸術活動の一環としてでもありますが、立派なビジネスとして成立しています。

制作サイドにとって、自分が無名の映画監督であっても、映画祭で注目される事により、映画を売ることができます。自費で映画を制作するものにとっても、発表する場が提供されます。

配給会社にとっても、映画祭での観客のリアクションを見て、映画を購入するかの判断が出来るのでリスクが少なくなります。

そして映画祭を開催する地域にとっては、観客動員を見込むことができるのです。

日本では、「ビデオフェスティバル」なるものが盛んですが、ビデオフェスティバルで発表される作品は、あくまでも趣味の延長線上でしかないのが今の現状です。

もっと日本でも、アメリカの映画祭のような、制作者、配給会社、そして地元を活性化することができるような映画祭が出来れば良いんですけれどね・・・。

ということで、明日は、映画祭の裏側、そしてラスベガスの印象等を紹介したいと思います。