こんにちは。
CoderDojo 尾張のチャンピオンで、DojoCon Japan 2022 では映像チームリーダーとして、映像すべての担当をさせてもらった Katz です。
遅れての投稿ですみませんが、CoderDojo Advent カレンダー6日目の投稿です。
25日までに公開するため、写真・動画リンクなど未掲載です。少しづつ追加していきます。
ぜひ、全国の CoderDojo の道場のみなさんも、ハイブリット配信などを企画してみましょうという提案記事です。
まず DojoCon Japan のライブ配信のすべての裏側を話します。
DojoCon Japan 2022 のライブ配信とダイジェスト動画
ライブ配信を行うことになった経緯 & ネット回線との格闘
去る11月27日、富山市で開催された DojoCon Japan 2022 に映像チームリーダーとして参加しました。
まずは、当日のダイジェスト動画とセッション動画のプレイリストを紹介します。
ダイジェスト動画
はじめに
初の DojoCon Japan のライブ配信。実は、開催1ヶ月ぐらい前まで、ライブ配信を行うかどうか迷っていました。
理由は、ネット環境と予算です。
会場にある固定回線のネット回線が、下り (Download) は 100Mbps ありましたが、上り (Upload) が 20Mbps ぐらいしかありませんでした。
予算についてもどこまで配信に予算を配分できるのかの攻防もありました(苦笑)。
しかし、今年はラッキーでした。みんなが機材を持っていたのです!
CoderDojo 古河のたかいさんが保有されているモバイル回線や、私の機材に加え、副実行委員長で CoderDojo 富山の山村さん、実行委員の永井さんが、Blackmagic 社製の ATEM というスイッチャーや、カメラなど、プロ並みの配信ができる機材が揃っていたのです。
今回の DojoCon Japan のテーマは「Try Something New」でした。
今年も全国各地の CoderDojo 関係者が、参加したいけれど、物理的・時間的に無理という方がいらっしゃいました。その方達や、せっかく資金を提供していただいているスポンサー様へも最大限の露出を提供したい。
なので、新しいことに挑戦するのも良いと思って、ライブ配信を行うことにしました。
DojoCon Japan として初めてのライブ配信。
少し予算があったのと後述のプロジェクトも挑戦してみたかったので、今回は、プロのライブ配信オペレーターを雇わせていただくことにしました。
ライブ配信の機材構成とシステム
これが今回 DojoCon Japan 2022 で行ったライブ配信の構成図です。
3台もスイッチャーを使っているのは理由があります。
現地会場のプロジェクターへの投影用と、ライブ配信用、バックアップライブ配信回線用に3台を用意しました。
1台目、現地会場のプロジェクター用スイッチャーには以下の、4つのインプットを使いました。
- 登壇者のPC端末
- オンライン登壇者・コンテストの Google Meet用 PC
- 休憩動画やオンライン登壇動画を流すための動画再生用 Mac
- ズームイン用カメラ(コンテスト作品をズームインして配信に加えて会場の奥でもわかるように)
アウトプットを HDMI スプリッターで分け、配信デスクのモニター、プロジェクター、2台目の配信用スイッチャーに映像を流しました。
登壇者PCからは距離があったので、HDMI信号を LAN ケーブルに変換して延長できるエクステンダーを利用して、配信テーブルまで持ってきました。
今回、オンライン登壇は Google Meet を使用しました。単純に CoderDojo Japan が Google Workspace 非営利アカウントを保有しているので、Google Meet であれば長時間、会議室を開け続けていることができるというのが理由です。
動画の再生(専門用語で動画のポン出し)には、Mac のフリーソフト CamTwist を利用しました。
2台目のネット配信用スイッチャーには、
- 1台目のプロジェクターと同じ映像
- ネット配信専用カメラ(マイクで会場の音を収録)
の2つの映像ソースを取り扱い、そして、ネット配信様にタイトル画像をスーパーインポーズしたり、画面を組み合わせたりしました。
3台目のスイッチャーは、スイッチャーとして使っていたのではなく、配信のバックアップとして使いました。
会場の有線LANのスピードが遅くて心配だったため、CoderDojo 古河のたかいさん提供の POVO 回線を使って、ネット配信を冗長化させました。
YouTube Live には、メイン回線の調子がおかしくなると、サブ回線の映像に自動的に切り替えることができる機能が備わっています。
会場のネット回線の遅さを、POVO の回線の遅さも気になりましたが、ATEM mini Pro が3台あったおかげで、冗長配信をすることができました。
音については、僕の元専門分野です。昔は映画やテレビ番組の音の収録や編集で生計を立てていた時がありました。
ということで、予算と状況とを相談しながらベストの仕組みを組みました。
今回、会場の音響が使えないという事態に陥ってしまったので、我々で会場用の PA システムを組む必要がありました。
そのため、マイクとスピーカがハウリングしてしまう可能性が非常に高くなってしまいました。
そして、ワイヤレスマイクから直接音を拾うだけだと、乾いたそっけない音になってしまいます。
なので、スイッチャーの音の構成をうまく切り分けて、現地の音はスピーカーから拾うだけにしました。
これは、僕がよく、イベント・勉強会の収録で行っている方法です。
この方法をとると、会場での拍手・質問の声など、会場の臨場感あふれる音を流すことができます。
一部、ワイヤレスマイク2台、カメラ1台、モバイルWiFiの一部をレンタルしましたが、他はすべて、CoderDojo 尾張 (僕)、CoderDojo 富山の山村さん、CoderDojo 古河のたかいさんの自前の機材で済ますことができました。
これらのシステムを普通に組むと、5〜10万円ぐらいは軽くかかってしまうのですが、それは、石をなげれば、ネットワークインフラに強いメンバーが集まる CoderDojo の全国ネットワークでした。
Blacmagic の ATEM Mini Pro が2台、そして ATEM Mini Extreme も持っている方がいるとは驚きでした。
使用した機材の一部のリストです。 (Amazon で販売しているものはリンクをつけてます。)
- スイッチャー: Blackmagic ATEM Mini Pro
- スイッチャー: Blackmagic ATEM Mini Pro ISO
- スイッチャー: Blackmagic ATEM Mini Extreme
- カメラ: Canon XA 55
- カメラ: Canon iVIS HV30
- ミキサー: Beighringer QX1202USB
- ワイヤレスマイク: SKM300-853G3 & EM300 G3 (2セット)
- HDMI 分配器 1入力4出力 (2セット)
- TSdrena HDMI延長器 (エクステンダー)
- PC: ATEM mini Pro 操作用
- Mac: 動画ポン出し用
- PC: Google Meet 接続用
ezCast で会場内中継
また、今回は、CoderDojo 古河のたかいさんのご提案で、ezCast という機材を導入しました。
映像信号をIP信号に変換し、同一ネットワーク内で映像の転送ができるというものです。
今年の DojoCon Japan 2022 は、富山商工会議所の9階と10階を貸し切って行いました。10階でどのようなセッションをながしているのか、9階の各部屋の様子はどうなのか、会場内に設置されたモニターを介して見ることができました。
僕がダイジェスト動画を9階で撮影していた時も、10階でのセッションがそろそろ終わりそうとすぐにわかって、戻ることができたりと重宝させていただきました。
これも CoderDojo の全国ネットワークならではの知見ですね。
オープニング動画
DojoCon Japan では、2020年から「オープニング動画」の制作をしています。イベントのオープニング動画があると、イベントの雰囲気や気合が変わってきます。
DojoCon Japan 2022 では CoderDojo 柏の飯島さんに作っていただきましたが、2021 と 2022 は僕がデザインチームのロゴをベースに作成しました。
毎年、毎年、DojoCon Japan のロゴはデザインが凝っていて、動かせる甲斐があります。
AWS ユーザーグループの JAWS などのイベントで、かっこいいジングルを作られているのを見て、僕もかっこいいのを真似したいと思ってのことです。
かっこいいナレーションとサウンド効果(ジングル)は、Radio Jingles 24 に発注しています。英語のみ、指示も英語のみですが、1営業日以内に、指定した声優さんからの音が届きます。日本語の固有名詞などは発音の指示を英語でしてあげる必要があります。
アニメーションは、Adobe AfterEffects と Davinci Resolve を使って適当に作成しました。本当はもっと時間をかけたかったんですが、ライブ配信の準備や、プログラミングコンテストのサポートなどで、納得できるものはできませんでした。かっこいいジングルで
Dojo 自慢 & 休憩動画
セッションの間は、DojoCon Japan 開催前に Facebook の CoderDojo チャンピオングループで募集した、全国の Dojo 自慢で、写真や動画を送っていただいた道場を紹介しました。
- CoderDojo 名護
- CoderDojo 古河
- CoderDojo 伊予
- CoderDojo 西那須野
- CoderDojo 犬山
- CoderDojo 尾張
- CoderDojo 小平
- CoderDojo 久留米
各道場のみなさん、ご協力ありがとうございました。
他にも、アイルランドの CoderDojo 財団, イギリスの Rasberry Pi 財団のメッセージの手配、CoderDojo Japan の安川さん、ありがとうございます。
デザインチームには、スポンサーロゴなどを用意していただきました。
ツールを使って手抜き配信
休憩中には、スポンサーの紹介、タイムテーブルの紹介などを流したのですが、できるだけ省エネ・楽に作りたかったので、Davinci Resolve の用意されているエフェクトや、タイムテーブルは、GoPro 付属のアプリ、Quik を使って、iPhone で作りました。
GoPro のアプリを使って数クリックで、DojoCon Japan 2022 の大きなスクリーンでも遜色ないアナウンスが作れるなんて、時代は進化しましたねー。
ちなみに、このアイデアは、CoderDojo 紙屋町からいただきました。毎回毎回かっこいい報告動画を作っていて、どうやって作っているかを伺ったら、GoPro のアプリを使って短時間で作っていると伺ったのです。
著作権に注意しよう
ただし、Quik アプリで使われている音楽を使う際は注意しましょう。
GoPro の公式ヘルプ「GoPro Quik:コンテンツのライセンスに関する質問」には、全て YouTube へ掲載が許可されている音楽では無いらしいです。
必ず、著作権がクリアされた音楽を使う様にしましょう。
オンライン登壇
今回、DojoCon Japan 2022 では、現地に参加できない登壇者の方のために、オンライン登壇できるようにしました。
ただ、会場のネット回線が心配だったため、ネット回線が途切れても大丈夫な様に、オンライン登壇の方は、事前に録画を送っていただき、Q&A の時だけ Google Meet を通じてライブで参加できる様にしてもらいました。
Scratch 財団からも特別にセッション動画を送っていただき、日本語字幕タイトル入れなどを行いました。20分もの長いセッションでしたが、なんと、Scratch 財団の方で、英語の字幕データを作成していただいたので、翻訳をすごく楽にすることができました。Scratch 財団では、耳の聞こえない方のために、制作する動画は、すべて字幕をいれているらしいです。
今回のライブ配信は、皆さんの機材を持ち寄って設定したこと、会場の制約などもあって、最初は音声トラブル、Google Meet 接続トラブルなど、大変でした。
午前中のドタバタのために、一時期、ダイジェスト動画の当日公開を断念しかけたのですが、神成株式会社の早瀬さん、CoderDojo 尾張メンターのとーるさん、WordPress Meetup コミュニティからの栗田さんと池主さんの多大なるご協力のおかげて、セッション全編の配信は途切れることなく終わることができました。
鬼門だったネット回線
一つ会場のネット回線が、登り 20Mbps 以下のスピードしか出なかったのが問題でした。
富山のメンバーに会場の下見に行っていただいた際に、会場の有線LANのスピードテストに加えて、UQ WiMAX などのモバイルインターネットの回線テストを行ってもらいました。本当に助かりました。ありがとうございます。
あまり思わしい結果が出なかったことで、ギリギリまでライブ配信をするかどうか迷いました。
UQ WiMAX も、5G と 4G のカバー領域がちょうど分かれているところで、反対に不安定になるとのこと。
ただ、Blackmagic ATEM Mini Pro が3台あったため、会場の有線LANと、POVO のモバイル回線を使った冗長配信ができるから良いかと思って決行することにしました。
ATEM Mini Pro には SD カードでも保存してバックアップも保存しました。
結果はやはり配信が不安定なところがあり、動画がカクカクしていたところもありました。
今、DojoCon Japan の YouTube チャンネルに各セッション個別の動画をアップ中で、それらは回線の影響が無いバージョンです。
ついでに、エンディングムービーにも挑戦
僕自身は、イベント・勉強会のライブ配信はもう500回ぐらい実施しているので、個人的にも Try Something New 新しいことに挑戦してみました。
それは、エンディングムービー(ダイジェスト動画)です。
エンディングムービーとは、結婚式・披露宴でよく行われる動画制作です。結婚式・披露宴に参加して、披露宴最後の締めとして、その日のダイジェストを音楽に乗せて紹介します。
僕が副実行委員長を務めた、2019年でも、ダイジェストムービーの大切さがわかっていたので、CoderDojo 柏チーム(宮島さん、北原さん、飯島さん)に素晴らしい動画を作成していただきました。
朝から撮影しながらビデオを編集し、イベントの最後の締めで、みなさんの思い出として公開し、携わっていただいた方すべての名前をエンドクレジットで紹介するという早業です。
DojoCon Japan 2019 動画はこちらからご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=pQ6bVZfj4Ak&list=PL_XgRvFvKBPY6lfE-DM5ZUoXQPh-_0_B8
セッションの動画を全部公開しているものの、短く当時の思い出に浸れるし、今後の DojoCon Japan のセッション・企画・スポンサー集めとして、ダイジェストムービーはその真価を発揮します。
予算もなかったし、僕個人的にも挑戦してみたかったので、初めてのネット回線が乏しい環境であるなかのライブ配信というチャレンジにも挑戦しつつ、このダイジェスト動画制作も挑戦してみました。
クレジットの最終調整や最後の LT も含めた最終編集をしてから、YouTube にて公開します。
まとめ:悔いはないけれど、もっとみんなと交流したかった DojoCon Japan でした
本当は CoderDojo 関係者の方といろいろお話ししたかったのですが、終始、ライブ配信とダイジェスト動画撮影に時間を割いてしまい、あまりみなさんと交流ができなかったのが名残惜しかったです。
3年ぶりにお会いできたみなさん、挨拶もそこそこにすいませんでした。
来年もよろしくお願いします。
来年は奈良で開催予定。僕も引き続きスタッフとして参加する予定です。
(奈良でライブ配信をするかどうかは未定ですが、今の所は、ライブ配信をすることは考えていません。)
それでは来年の DojoCon Japan でお会いしましょう。