私が、毎回楽しみに購読させてもらっている、日本に関する英語ブログ「Japan Probe」にこんな記事が、つい先程、投稿されました。国際化されている日本が、直面し始めた問題です。
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● ハロー外人さん への苦情
http://blog.goo.ne.jp/kentanakachan/e/7c3dbe1a68bc2aa2ddf8ac89cdc82d63
● No Complaints Received About “Hello Gaijin-San” Nose
http://www.japanprobe.com/2010/11/26/no-complaints-received-about-hello-gaijin-san-nose/
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Photo is licenced under Creative Commons A-NC-SA3.0 by japanprobe.com
これは、金髪、青目になれるというパーティーグッズのおもちゃが「差別だ」と説き、販売元へのお問合せフォームへのリンクを設置し、日本語で苦情を言うようにと、賛同を願っているというブログ記事です。
今後、日本にたくさんの外国人がやってくるので、国際化のためにはこういう問題を解決しなければいけないと思いますので、参考に。
取り急ぎ、簡単な見解を、要約で紹介します。
こう言うのは冷静に分析しましょう〜。
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■ 差別になる要素を考える
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なぜ差別と言われているのでしょうか。
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- 「ガイジン」という言葉は差別用語の1つとして取り上げられつつある
- 70年代のイケメンアメリカ人のイメージ、金髪、青目
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ということで、 最初のブログ記事と JapanProbe のライターさんは、憤慨されたのでしょう。ただし、あんまり、しっくりこないんですよね〜。
私は、編集に携わっている雑誌などで、ライターたちに指針を出しています。今回はその基準について開設したいと思います。
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■ 差別ではない要素
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ここで、ちょっと私は、 JapanProbe のブログ投稿が、ちょっと大げさすぎて、扇動することではないだろうと感じました。
直感的そう思ったんですが「直感的」では、説得力がありません。ということで、自分がなんで直感的にそう思ったのかを羅列してみました。
- 表現の自由が憲法で保証されている
- あもちゃの写真には「Party Joke」と明確に書いてある
- アメリカでも「サタデーナイトライブ」などのコメディー番組で日本人をコケにしたコメディーがある
- それらの番組では辛辣な笑い「パロディー」でウソであることを明確にしている
- でも、辛辣なジョークだったら何でもして良いというわけではない
- 「やっていいジョーク」と「やっちゃいけないジョーク」のボーダーラインを考える必要があるな〜
ということで、やってはいけないジョークの基準を、今までの事例を頭の中で浮かべて考えてみました。アメリカでの人種差別か差別でない事件を10年近く見てきて、それらの判例を私なりにまとめたものです。
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■ ジョークの一線を超える基準・6カ条
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ということで「一線を超える」を考えてみましょう。アメリカのニュースや大学、そして友人たちとの飲み屋の会話など、10年ほどの経験からの「一線の基準」です。
- 事実と全く異なるか?
- 事実と全く異なる事象を使って、個人の名声を悪意を持って落とし入れようとしているか?
- 特定の個人(特に一般人)を非難しているか?
- 差別を助長しているか?
- 違法や犯罪行為であるか?
- たくさんの人を傷つけているか?(これは難しい)
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■ 基準を当てはめてみる
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● 事実と全く異なるか?
外国人で白人だと、金髪で青目の人いる = 事実で問題なし
ドンキーホーテに行くと、他にもチョンマゲなどの「日本人」の仮装も販売されている。
● 特定の個人の名声を悪意を持って落とし入れようとしているのか?
特定の個人を指すような名前が見受けられない。悪意を持っているとは見受けられない
● 特定の個人(特に一般人)を非難しているか?
してない
● 差別を助長する?
ストーリー自体に差別性はないが、描写が差別的だと言われているが、Katz個人的には微妙
● 違法、犯罪行為か?
現代であると、日本で一般に知られている黒人アメリカ人版
● たくさんの人を傷つける?
ラッキーにも、記事の下にはコメントが投稿されています。今の時点で、大半の読者が「差別ではない」というコメントをだしています。ということで、たくさんの人を傷つけていません。
(* もしも、こういったプラットフォームがなければ、 YokosoNews の方でリサーチできますので。お問合せください〜。)
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ということで、以上の理由から、おもちゃは外国人差別に当てはまりません。
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ちなみに、以前に
● 赤っ恥をかかないために:矢島美容室から考える本当の国際交流
https://ja.katzueno.com/2008/10/862/
という記事を書きましたが、「矢島美容室」も上記の基準を、当てはめてみましょう。
全て問題なしですね。
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■ 難しい例:「ちびくろサンボ」
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上記の例は、明瞭に「シロ」な例でしたが、ちょうどいい機会なので「ちびくろサンボ」の例をとってみましょう。実は、これ、「グレー」なんです。
ちびくろサンボについての詳しい経緯は、例によって、 Wikipedia の記事を見ていただくと詳しい経緯をオムことが出来ます。
● ちびくろサンボ – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%81%B3%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%9C
ということで、上記の「一線を超えた基準」を当てはめてみましょう。
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● 事実と全く異なるか?
元々はインドの家族の話なのにアメリカの海賊版編集者によって、アメリカの黒人の話に摩り替わられている。原作の石を尊重していない。
ただし、作り話なので、元々「事実」というのは存在していない。ということで原作版とアメリカ版と別々で考える必要あります。
原作:つくり話なので事実が存在していない
アメリカ海賊版:竹林が森に、人物がインド人から黒人に変更されているが、アジアにしか生息していないトラとアフリカ黒人という設定がめちゃくちゃ。しかし「つくり話」なので、事実にどこまで忠実じゃないといけないかな?
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● 特定の個人の名声を悪意を持って落とし入れようとしているのか?
両方:特定の個人ではない
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● 特定の個人(特に一般人)を非難しているか?
両方:してない
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● 差別を助長する?
原作:ストーリーはしていないが、主人公の名前「サンボ」は黒人を蔑称する言葉
アメリカ海賊版:中には描写が黒人の特徴を誇張しているとの批判がある。公民権運動の活動時に結び付けられている感がある。
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● 違法、犯罪行為か?
原作:問題なし。
アメリカ海賊版:原作者に無断でストーリーを改変。現在の法律に照らし合わせると違法で犯罪だが当時は著作権の法律がなかったので違法・犯罪ではない。そして現在では、作者のバンナーマンさんの死後(1946年10月13日)50年以上立っているので、著作権が存在しないので、意味時効が成立するので問題なし。
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● たくさんの人を傷つける?
両方:名前「サンボ」は黒人を蔑称する言葉。特にひどい差別を受けてきた黒人の皆さんを傷つける可能性があるけれども、その声が聞かれたのは50年前。今では「過去の事」として傷つくような黒人さんは少なくなってきている。でも過去に傷ついた人が沢山いた。
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てのが、世間一般での一番の正解の答えだと思いますが、これは、本当に個人、個人の意見を尊重し、最終的に多数決で決める事象だと思います。
しかし、時間やお金をかけてアンケートをする暇はないので、私個人的な考えを・・・。
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私個人的な考えは・・・
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「ちびくろサンボ」原作は、主人公の名前を変えて、原作に忠実に出版するのはオッケー。
「ちびくろサンボ」アメリカ海賊版は、昔、著作権関係の法律が成立されていなかったので、海賊版を作ることに、何ら問題はなかったとは言え、現行の法律に照らし合わせると違法。んで、映像制作など創作活動をしている私の立場上、倫理的にも許せるものではないので、アメリカ海賊版はNG。
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なんか、面倒くさくなってきました・・・。
こんなに面倒くさかったら、他にいろいろな役に立つ絵本あるしな〜。
本当の結論。
なんか、白黒はっきりしないのを議論しているのも埒があかないので、「ちびくろサンボ」じゃない絵本を見つけましょう。
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です。
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■ リスクを恐れず、がんばろう〜
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ということで、今日の言いたいことは。冗談とかジョークというのは、面白いから面白い。
遊びは大切です。
ただ、面白い物ほどリスクがつきもの。
日本を国際化するにあたって、どんどんと外国人がやってきます。
どこまでがオッケーで、どこから NG なのか。
上記の「一線を超えたジョークの基準、6カ条」を照らし合わせて、ぎりぎりオッケーで面白い冗談をしていきましょう〜。
来年のハロウィンで、この仮装をしようかな〜。
をを!おもちゃの宣伝になっちゃった・・・。
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