ロンドン、もうひとつの戦い – 車いす陸上 日本代表 伊藤智也選手

4年前の北京より、縁あって、三重県鈴鹿市在住、車いす陸上競技選手で、ロンドンパラリンピック日本代表、伊藤智也(いとうともや)選手のサポートさせていただいており、主にホームページやビデオの制作を行なっています。

ロンドンで引退を宣言している伊藤選手にとって、最後の試合になるロンドンを、私の出来る範囲で全力でサポートさせていただきます。

ロンドン五輪開会式の興奮の中、もうひとつのロンドンを紹介します。

みなさんに、是非とも、こんな素晴らしい人が、1ヶ月遅れてロンドンで活躍されることを伝えたく・・・

そして可能であれば、お友だちや家族にも、このことを伝えてほしくて、宣伝させて頂きます。

去る 7月 8日 (日) に、伊藤選手の壮行会が開催されました。

最後の方に、智也さんの講演ビデオ載せました、絶対に見ていただきたいです!

そして、可能であれば、お知り合い、家族に宣伝して頂ければとおもいます。

よろしくお願いいたします。

写真提供:エフフィールド

車いすランナー伊藤智也さんの経歴

伊藤智也選手は、今年 (2012年) 8月に 49歳になられます。

若くして会社を設立。従業員数百〜千名の会社の経営者として活躍されていた 1998年、突然、多発性硬化症という病気を発病。

ステージ5という最悪ステージ。耳と脳しか機能しない、ほぼ植物状態に陥りました。

多発性硬化症でステージ5まで症状が進むと、普通は余命1年なのですが、

懸命な治療の結果、左目は失明し下半身不随になってしまいましたが、奇跡的な回復を見せました。

※ ただ、多発性硬化症はいつ再発してもおかしくない状態ですので、智也さんは、今でも、翌日にが覚めなかも知れないというリスクを負われています。

会社の経営を他人に譲ります。

リハビリの最中、同室の患者さんの息子さんが新米の車いす営業マンで、彼が間違って、陸上競技用の車いすを注文。

そんな間違いから、アスリートとして人生を歩むことになります。

競技種目について

智也さんは T52 というカテゴリーに属しています。 Wikipedia によると、T52 は、脊椎に損傷があり、体の下腹部以下が麻痺している障害を持っている車いす競技者のカテゴリーです。

智也さんは、その 400M と 800M で世界記録をお持ちです。(智也さんの競技の努力は別の機会に)

智也さんのレースの模様は、パラリンピック公式 YouTube チャンネルに公式動画が2本アップされています。

2011年 ニュージーランド世界陸上 400m T52 決勝

2008年 北京パラリンピック 400m T52 決勝

下半身が麻痺し、左目が失明している中の走りは見事です。

ロンドン・パラリンピック競技スケジュール

伊藤智也選手、ロンドンパラリンピックの競技日程は以下のとおりです。

英語のみですが、競技の模様は、パラリンピック公式サイトの特設コーナーからネットで生中継される予定です!英語ですが競技が始まれば公式サイトトップページから競技の中継映像に辿れるとのことです。

その他にも、NHK総合は午後の時間、教育テレビでは夜の時間、毎日、ダイジェストで特別放送を行う予定です。

また今回は、7社ぐらいの民放カメラも取材に入る予定ですので、遅れてですが民放でも紹介される予定です。

加え、現地より、奥さんやサポーターの皆で、Facebookページ や伊藤智也公式サイトを通じて速報をお伝えしていく予定です。

日本時間 現地時間 種目 ラウンド
8/30 (木) 4:30 8/29 (水) 20:30 開会式
9/2 (日) 19:55 9/2 (日) 11:55 100m 予選
9/3 (月) 3:42 9/2 (日) 19:42 100m 決勝
9/3 (月) 18:27 9/3 (月) 10:27 400m 予選
9/4 (火) 4:19 9/3 (月) 20:19 400m 決勝
9/8 (土) 4:19 9/7 (金) 20:19 800m 決勝
9/8 (土) 18:38 9/8 (土) 10:38 200m 予選
9/9 (日) 5:03 9/8 (土) 21:03 200m 決勝
9/10 (月) 9/9 (日) 閉会式

人間、伊藤智也

もう一つ、皆さんが伊藤さんを注目しなければいけない理由は、その人間性です。

実際に一度でも、智也さんにお会いしたことがある方は、その意味がわかると思います。

病気が発症する前は、数百名以上もの従業員を抱える大きな会社の社長として、活躍されていた後の挫折。

それを乗り越え、ゼロからの再スタート。

しかし、それを、智也さんは、いつも明るく、力強く語られます。

人生の先輩として、私もすごく尊敬しています。

さきほど、そんな智也さんの壮行会のビデオを YouTube にアップさせていただきました。

YouTube #1. 「あたりまえに働くこと」

ビデオのあらすじ

多発性硬化症発症前は、経営者として、障がい者に支援する側だった伊藤選手。

その中で、成功した経営者として、事前団体の仲間と、障害を持つ子どもたちにチャリティーイベントを企画し、経営者としての地域に貢献される活動を行なっていました。

障がいを持つ子どもたちは、イベントに参加して楽しみ、保護者の方も、そのような機会を与えてくれた地元有力者の方に感謝します。

しかし、伊藤さんは障がいをもってから、気がついたのです。

障害を持つ人たちや、その保護者の方は、地元の有力者の方たちが企画するチャリティーイベントに頭をペコペコしながら、いいなりに参加しているだけなのです。

障がい者になった、智也さん。もし、経営者の自分に戻ったら、どうするのか。

ボーリング大会などのチャリティーイベントにお金をスポンサーしないでしょう。

そのかわり、仕事ができなくてもいいから、1日だけもいいから、従業員として自分の会社で働いてもらい、給料を払うでしょう

もしかしたら、お子さんは、そのお金で親にプレゼントを買うかもしれません。

同じお金を使うのだったら、「与えるだけ」「与えられるだけ」。そして保護者が頭を下げるだけの慈善活動ではなく、子どもたちが、自分の両親に親孝行できるような機会・場所を与えてやることが、真の慈善活動ではないのでしょうか。

YouTube #2. 「お母さんより1日早く・・・」

ビデオのあらすじ

伊藤智也さんの新刊「絆 命を輝かせるために」の絆のセクションから。

とある脳性まひを患っている子どもたちのいる施設が、子どもたちのため、七夕の日にキャンプを企画します。

どのキャンプ場も、障がいをもつ子どもたちを受け入れてくれません。事故が怖いからです。

しかし、生徒一人につき、先生と保護者の二人をつきっきりでつけ、日帰りで帰る条件で、受け入れてくれました。

当日、デーキャンプが始まりました。

生徒たちが、普通の人よりも倍以上時間がかかる中で、カレーを作ったり、キャンプファイヤーやフォークダンスを楽しみました。

七夕なので、短冊にお願いごとを書きます。笹にくくりつけて、キャンプの最後に、川に流す予定でした。

しかし、12歳の少女が、川に流す時間になっても自分の願い事を書こうとしません。

引率の先生が、どんな小さな願いごとでもいいからと、再三、女の子に促します。

女の子は、「怒らないんだったら書くよ」と言ったのです。

こどもの中には「パイロットになりたい」という願い事を書く子がいました。

脳性まひという障がいを持つと絶対に無理な夢。

先生は、少女が、自分が無理難題な夢を書いて怒られないかと遠慮していたと思っていました。

「なんでもいいから」「小さな事でもいいから」「怒らないから」と引率の先生は促します。

女の子は、「じゃあ、怒らないんだったら書く」とペンを取りました。

おかあさんより、1日早く、死ねますように

引率の先生は、びっくりしました。「死ぬことが夢なんてダメ」

しかし

お母さんが、その短冊を手に取り、裏に書きました

あなたより、1日長く、生きるわ

女の子は、自分が生まれてから12年間、お母さんが、自分の世話をするのに精一杯。女性としてお化粧もできず、自分の自由な時間を奪われていることを知っていたのです。

なので、せめて、自分が1日だけでも早く死んで、お母さんに自分自身の時間を持ってもらいたいという思いから、この短冊の願いを書いたのです。

12歳という女の子が、自分が女性として、女性である母親に、精一杯、できるだろう自分の願いだったのです。

そして、お母さんも、その事をわかっていました。

一見、これは、いい話、親孝行で、感動する話なんでしょうか。

実は、これは、あってはいけない話なのです。

いのちを犠牲にして幸せは買えません。

いのちをもって制することはあってはいけないのです。

しかし、障がい者をもつ方やその家族は、自分たちを突き詰めた形でした、自分の愛を表現できないのです。

死を持って愛を制することはできません。

智也さんを応援し続けるために、自分が、がんばろうと思います。

HP の制作や、YouTube 動画の編集は、自分ができる智也さんへのサポートです。

しかし、同時に、自分自身が頑張ることができるエネルギーになっています。

智也さん、ロンドンの後も、引退後も、講演などで活動を続ける予定です。

是非、彼の動向を注目して頂ければと思います。

○ 伊藤智也 HP
http://ito-tomoya.com/ 

○ 伊藤智也 Facebook ページ
http://www.facebook.com/TIRTomoya