今日は、みんなが自由に楽しく参加できるように、 ちょっと趣向を変えて「concrete5 がウェブサイトプロジェクトで成功できる理由」というのを書いてみます。
concrete5 Japan Advent Calendar 2015 の締めを努めます、Katz です。
2009年に日本ユーザーグループを立ち上げて6年が経ちました。当初、自分も、メインのソーシャルメディアサイトの運営のために concrete5 を始めたので、今日のように concrete5 自身で飯を食っていくというようなことは全く想像していませんでした。
しかし、昨年より正式にコンクリートファイブジャパン株式会社のメンバーとして参画し、concrete5 導入の構築、コンサルティング支援を様々な企業に向けて行ってきました。
また、マーケティング活動としては、Japan IT Week の Web & モバイルマーケティング EXPO に出展し、様々な企業様にアプローチ。
地方自治体、上場企業や大企業様にも concrete5 導入を進めていただけるきっかけとなりました。
また,インテグレートパートナー制度をスタート。1年ちょっとで全国で20社を超える制作会社様にパートナー登録していただきました。
ビジネスの上でも広がりを見せる concrete5 。その理由を紹介します。
あの米軍も!世界の有名企業も使っている導入実績
concrete5 は、今日時点で約25万人のユーザーに、約63万サイトで使われている CMS です。
アメリカ米軍も在外軍人向けのコミュニティサイト運営に導入しています。軍隊というセキュリティーが厳しく、なおかつ Web の専門家も少ないため、直感的な操作方法が好まれます。
concrete5 は開発当初から、大人数、巨大組織、多くのアクセス数の元で使われることを想定して設計されている CMS です。
米軍が行ったユーザビリティテストでも concrete5.7 はストレス無く使える CMS だというテスト結果があったそうです。
他にもミニクーパー、スイス政府、フィリピン航空、ケンブリッジ大学プレス、レゴランド・デンマークなど、様々な有名ブランドや政府機関に concrete5 が使われています。
日本国内でも市町村の公式サイト、京都大学を始め、国立・私立大学公式サイト、金融機関をはじめとする企業のグローバルサイトや B2B イントラサイトなどにも導入実績が多数あります。
concrete5 は世界の有名ブランドと日本国内の名だたる企業・団体に導入されているという実績があります。
concrete5 は他のメジャーな CMS と遜色ないくらい安全・安心です!
オープンソースソフトは危険ではないかという雰囲気があるのですが、実は、オープンソースは、商用ソフトと同じくらい、場合によっては、より安全なこともあるのです
6年前、商用ソフトからオープンソースに変わった初期の concrete5 は、ちょっと危険だった
concrete5 日本語版をリリースする 2009年4月以前の話なのですが、実は concrete5 は、致命的なものは多くないものの、クロスサイトスクリプティング (XSS) や、SQL インジェクションの穴が少なからずありました。
世界中開発者の数を増やし安全性を強化している
concrete5 の GitHub の貢献者一覧見ると、今日時点で 162 名の人がコミットをし、214 名がレポジトリを見ています (Forkしています)。
また、HackerOne という、脆弱性レポートを受け付けるサービスを利用し、万が一脆弱性があったとしても、とくに緊急で深刻な脆弱性があった場合も、48時間以内に対応を施すという体制をとっています。HackerOne には、菱川と、私 Katz も参加しているので日本語でのレポートも受け付け可能です。
それは、世界中に開発者が集い、中心メンバーが IRC、Slack でつながり、時差を利用して24時間レポートの監視を行っているからです。
また、どうしても安全性を担保したいという方に向けて、静的 HTML 出力 (HTML Exporter) という、エンタープライズアドオンを購入していただければ、CMS 側と公開側の領域を切り離しての運用が可能です。 (アドオンの価格は現時点で数十万円ほどです。)
concrete5 は、エンタープライズ製品と同じくらい機能が優れているし、機能がなければ、コミュニティーや自分の力で追加できる
コンクリートファイブジャパン株式会社として案件の仕事をしていると、他のエンタープライズ CMS と競合する機会もあります。
そうなると、いろいろなエンタープライズ CMS の機能を比較する機会があります。それらの CMS と機能比較しても、 concrete5 の操作性が同じか、場合によってはそれ以上ではないかなと思う時もあります。
オープンソースだからこそ世界中の開発者が機能を追加
concrete5 は PortlandLabs という、アメリカ・ポートランドの企業が中心となって開発をしています。彼らの世界を見る目のセンスは素晴らしいというのももちろんなんですが、オープンソースだからこそ、世界中の開発者が機能向上に貢献をしています。
彼らはボランティアで機能を追加していません。自分の仕事で必要になったから、機能を追加しています。
フルスクラッチ CMS を作るより、concrete5 を使ったほうが安く済む。concrete5 は追加開発が非常にしやすく設計された CMS
concrete5 で機能追加に貢献してもらっている開発者の一部は、今までゼロから自分で CMS を作っていた人もいます。でも、彼らは、自分のオリジナル CMS の開発を辞め、concrete5 に移ってきました。
まず、元々から、機能が豊富に用意されていたというのがありますが、それに加えて Symfony や Laravel など、モダンな PHP フレームワークを取り入れ、潤沢にある PHP プログラムのリソースを利用できるということです。 MVC フレームワークを確立し、本体・パッケージ・ユーザーアプリケーション領域を分離させて、自分のサイトだけのカスタム開発が非常にしやすくなっています。
これは、前身の concrete CMS が、ベースに個別の機能を追加していくという開発スタイルをとっていたからです。
50名近い専門家が同時にコンテンツを更新していく学術サイトや、デザインをカスタマイズできるUIを取り入れたサイトや、ラジオ局の公式サイトなど、concrete CMS 黎明期から、いろいろな機能を追加したり削除したりする必要があったのです。
その経験が、今日の concrete5 CMS のカスタマイズ性の良さにつながっています。
つまり、数千万スタートのでフルスクラッチ CMS を作ったりするのではなく、 concrete5 であると、もしかしたら、数十万〜数千万のみで、ウェブサービスを構築できるようになるのです。
コンクリートファイブジャパン株式会社の精鋭メンバーとパートナー。小規模から大規模・長期案件にも対応可能に!
concrete5 CMS のもう1つのアドバンテージが、concrete5 を知り尽くしたコミュニティメンバーが中心となって起業したコンクリートファイブジャパン株式会社と、concrete5 の魅力に賛同して参加してくれたパートナー制度です。
オープンソースで活動をしていると、無料でサポートがないと心配という声が、日本のみならず世界の企業でも心配されます。
そのような需要を感じて発足したのが、コンクリートファイブジャパン株式会社です。当初はフルタイムは菱川さんだけという、4名でスタートしましたが、業績も上がり、今では8名のチームになることができ、まだまだ社員募集中です。
concrete5 の実力メンバー4名がスタートした中心メンバー
まず、コンクリートファイブジャパン株式会社は、法人化する前からその可能性を感じて concrete5 を知り尽くしたメンバー4名 (菱川、佐々木、河村、Katz) によってスタートしました。
一般的なベンチャーであると、1名〜2名ぐらいのメンバーだけが才能に突出しているのですが、お互いの実力を認め合い一緒になった4名が集まっています。
また、よりユーザー目線での視点が強い宇佐見も取締役として加わり、企業としても成長し続けています。
また、全員がCSS, HTML のコードが読めるのはもちろん、concrete5 でサイトを1から構築できる PHP の知識を持ち合わせています。取締役全員が会社や事業経営の経験者であり、エンジニアでもあります。
社員全員がセミナー登壇経験者
オープンソースで活動を続けることで重要なのは、concrete5 の良さをいかに伝えるかということになります。
今現在で、ウチのメンバー全員が、セミナー登壇経験者です。
concrete5 の技術を知っているだけではなく、それをきちんと説明できるメンバーでもあります。
パートナー制度で可能性を無限大に
社員が8名に増えたと言っても、大きな規模の案件を行う上では、まだ8名という人数は足りません。
また、オープンソースという文化を大切にしたいため、コンクリートファイブジャパン株式会社で独り占めすることもしたくありません。
そのためにスタートしたのが、パートナー制度です。
今年からより本格的に、Web & モバイルマーケティング EXPO に出展し、導入活用セミナーを開催したりと、一緒に concrete5 を営業していこうと言う企業活動も本格化してきました。
パートナー企業は、小さい規模のウェブサイトを作っていることから、大きな規模のサイトを作っているところまで様々あります。
オープンソースだからこそできる無限の可能性をパートナーと一緒に作っていきたいと考えています。
本家コミュニティと、PortlandLabs との密接な関係
concrete5 日本ユーザーグループと、コンクリートファイブジャパン株式会社は、アメリカのコミュニティや PortlandLabs と密接な関係を保っています。
concrete5 本体のプログラムに貢献しています
まず、concrete5 日本ユーザーグループのメンバーは、積極的に concrete5 本体の開発に携わっています。
代表の菱川さんと、佐々木さん、私 Katz の株式会社メンバーに加えて、確認出来るだけで ounziwさん、kaneteiさん、acliss19xxさん、hdk0016さんも concrete5 本体のコードの貢献に取り組んでおり、特に菱川さんは、世界で11番目に貢献していたりと concrete5 本体のプログラムに貢献しています。ヨーロッパコミュニティと一緒になって5年。concrete5 は別パッケージではなく、世界共通パッケージとして配布できるようになりました。
世界で5名のマーケットプレイスの管理人
また、私は concrete5 でテーマやアドオンを無料・有料で販売している公式マーケットプレイスで、世界で5名しかいない管理人の1人でもあります。
イベント・勉強会を充実
また、日本は、concrete5 の世界のコミュニティの中でも一番イベント・勉強会を充実させている唯一のコミュニティです。各地のローカルコミュニティが毎月様々なイベントを企画しています。
その活動は、世界中のコミュニティの参考になっており、アメリカの開発元も参考にしているほどです。
PortlandLabs とコンクリートファイブジャパン株式会社との密接な関係
また、私が大切にしたことは、オープンソースではあるものの、開発元との関係を大切にしたことです。
concrete5 日本語版の開発を始める前に、PortlandLabs にメールで連絡し、日本語言語メンバーとして SVN のアカウントをもらったりしました。ポートランドに訪問したり、イベントを開催したら、メンバーに直接報告をしたり、英語のフォーラムでも活動の発表をしたりしました。
その関係を長年続けていたからこそ、パートナーとしての信頼関係を築き、コンクリートファイブジャパン株式会社として設立し、日本での商標権をいただくことができました。
現在も専用の Slack と呼ばれるチャットを使い、毎日「おはよう」と会話をしたりと綿密なコミュニケーションをとっています。
オープンソースのビジネス活動に参加しない手はない!
一部のオープンソースコミュニティのダメなところは、開発元ときちんと連絡を取り合わないで物事を勝手に進めてしまうところです。それは日本のオープンソースコミュニティでも多々見受けられます。
ライセンスでは許されているものの、開発元を綿密にコミュニケーションをとらないと、将来の計画に対して自分の意見を言わないから取り入れられなかったら、開発が終了してしまうというようなリスクも有ります。
上記のように、仕事でメインにオープンソースを使っていても、開発元に十分なフィードバックをしていなかったために、数億円の損害を出してしまっている悪い例もでています。
そうではなく、オープンソースのコミュニティだからこそ、コミュニケーションを綿密にとり良い関係を築いていけるのです。
お金を払う必要が無いからこそ貢献するべき。時間という予算を追加しよう
オープンソースの活動がよいところは、必ずしも、お金を払わなくても良いことです。
- 事例を紹介する
- イベントを主催・発表者として参加する
- 地域の勉強会を立ち上げる
- GitHub に追加機能・バグのフィードバックをする
など、金銭以外にも様々な形で貢献できます。
どちらにせよ、新しい技術は覚えていかなくてはいけません。
concrete5 では、concrete5 CMS だけでなく、Symfony や Laravel といった最新の PHP の技術や、マーケティングオートメーションとの連携、動画の活用なども一緒に学べる機会を提供しています。
concrete5 は、オープンソースソフトとし、ビジネスとして、そしてオープンソースコミュニティとしてさらなる飛躍をしていくと思います。
concrete5 の紹介動画 (25分)
concrete5 の機能を紹介した 25 分のスライドと YouTube 動画はこちらです。
チュートリアルも充実
まだ concrete5 を使ったことがない方は、ぜひ、年末年始の時間を使って、concrete5 を勉強してみませんか?数十時間に及ぶ動画チュートリアルも準備しました。
2016年も concrete5 で飛躍していけるよう精進してまいります。よろしくお願いします!
これで、 concrete5 Advent Calendar 2015 も今日で修了です。去年の Advent Calendar に続き、今年もほぼ完走できました。ありがとうございました。